普段、教室で学習をしている子どもたちを見ておりますと、本当に良く学びに向かっているなと感心します。それぞれの能力に差はあるものの、懸命に諦めずに取り組もうとする子どもたちを何とかしてあげたいという気持ちになります。それは、教職員はもちろんのこと、子どもたち同士でも手を差し伸べたいと思っています。そして、互いに支え合う機運が上がると、相乗効果となって学級全体の学力が伸びてきます。そのような学級を学級担任をしているときから見てきた故に、本校の子どもたちにも成功体験を味わわせたいと願って止みません。
長崎県教育委員会は、「学びに向かう力(非認知能力)」を次のように謳っています。①主体的に学ぶ態度 ②自分を律する力 ③よりよい生活や人間関係をつくろうとする力 ④自分を客観的に把握する力 など
「学力学力言わんちゃよか」と考える方は、「学力だけでは徳は上がらない・心は育たない」と考えていらっしゃるのだろうと察します。しかし裏を返せば、道徳ばかり勉強しても徳は上がらないのです。勉強すること(学び)を通して、非認知能力(数字では測定できない能力)が上がる、上記でいえば②~④が相乗効果となって上がるということです。自立をするために学びは、必要不可欠なものなのだと子どもたちへ伝えています。学びに向かえば、習慣化すれば、学力は上がる。学力が上がれば、生徒指導事案や友達とのトラブルが減る。算数が上がれば国語も上がる。落ち着いて、穏やかになっていくことで、生活そのものを改善しようとします。学びの相乗効果は、人生をも変える力があるのです。校長 吉永 信一郎
6月になりますと、子どもたちへ全校朝会で「いのち」の話をします。毎年のことですので、子どもたちに響くよう様々なことを考え伝えようとしています。
今年は、「気」について話そうと思います。「気持ち」「気遣い」「気苦労」「気を付ける」「気に留める」など、様々な使われ方がありますが、自分の「気」の中に、いつも持っているものがありますか?靴のかかとを踏まないようにしようとする気(持ち)、人の心や体を傷つけない気(持ち)、優しい言葉を掛けていこうとする気(持ち)、怒る気持ちを抑えようとする気(持ち)、最後まで人の話を聴こうとする気(持ち)。そして素直に直そうとする気(持ち)。分かってはいるけど、持ち続けるってなかなかできないですよね。こういった「相手にとって良い」気を持ち続けると、一日でヘトヘトになります。このことも、「頑張る」に入っています。
寝る前に振り返ってみてください。今日は一日、いろんな気をいっぱい使ったかどうか。そのことが、相手をそして自分を大切にしているという「生きる力」となるのです。いのちとは、生きること。そして生きるとは、気を遣うことではないでしょうか。たくさんの「気」を身に付けることができたとき、本当の大人へと成長したといえるのではないでしょうか。みんな同じように「気」や「心」を持っています。気を付けることは、生きることやいのちとつながっているのですね。様々な気持ちを持ち続けて、生活していきたいものです。
学びと信頼関係
東彼杵町立千綿小学校
校長 吉永 信一郎
日本一のお茶とくじらのまち、穏やかな大村湾が一望できる美しいまち、私の故郷、東彼杵町。近年、お洒落な飲食店や雑貨店が立ち並び、人気スポットとして注目されている地域です。
新補校長として赴任した東彼杵町立千綿小学校は、高速道路の大村湾パーキングエリア付近にあり、風光明媚な景色と素直で勤勉な107名の子どもたちが育む伝統ある学校です。9月からは、旧千綿中学校校舎に移転も予定しています。
昨年度まで東彼杵郡や佐世保市、五島市で教育者として多くのことを学び、教授いただいた方々の恩恵を胸に抱きながら、二十数年ぶりに故郷へ戻りました。教育の力で子どもたちを、そして地域を元気づけたいという思いで参りました。
子どもたちと教職員に「子どもたちに夢を見させたい。希望に満ちた将来を歩ませたい。そのために、ただひたすらに学ぼう」と伝えました。子どもたちと教師が共に学び自己実現していく姿を描いています。本校は、県央に位置し、高等学校進学の選択肢がありますので、学力を上げることで、将来の目標が広がります。小学校でまずは学びに向かうこと、そして分かった・できたを実感し継続すること。その積み重ねと、身につけるべき資質・能力を明確にした学習で学力の向上を図ります。
ある学校で「至誠」という言葉に出会いました。真心を込めて行動せよ、という深い意味がありますが、学びに心を込めるには、子どもと教師の信頼関係が必要不可欠です。そこで、学級経営八策として、次のように掲げました。①子どもの話を傾聴 ②子どもと楽しく会話(楽しく遊ぶ) ③時間を守る(特に終わりの時間) ④学級便りでよさを伝える ⑤真剣に取り組む学習時間 ⑥褒め方叱り方 ⑦教室環境 ⑧健康第一
校門付近にある石碑に「千綿の山は美しい 千綿の海は美しい 心のことばで話し合い 手をとりあって よい学級を よい学校を よい町を よい国を 新しくつくろう みんなの力で」と刻まれています。石碑に込められた先人の思いが、学びによって、心のことばによって地域社会は育まれていくものだと教えてくれています。
保護者や地域の方々も、子どもたちのことをとても大事にしてくれます。コミュニティスクールの活動や茶摘みなどの特色ある活動も活発です。これからも、地域とのつながりを感じ取り、成長させてくれたふるさと千綿地区を愛し続けるような心を育てていきます。